三井アウトレットパーク多摩南大沢の賃貸契約が2025年に終了するに伴い、東京都が「南大沢駅北側都有地活用事業」の事業者を募った結果、既存のアウトレット運営事業者の三井不動産を選定したと2024年6月17日に発表がありました。
南大沢のアウトレットが営業終了するかと心配されていましたが、営業継続するとともに一部エリアを建て替えて、フードコートやイベントスペースを設置してさらに発展させるとのことです。
三井アウトレットパーク南大沢は2025年に契約終了
三井アウトレットパーク多摩南大沢は、東京都が保有する土地を三井不動産が定期借地して運営しています。
この東京都との定期借地契約は2025年までと期限が決まっています。
随意契約による契約延長はないため、三井アウトレットパーク南大沢は閉店して撤退するのではと考えられていました。
東京都が次の定期借地契約者を募集
三井アウトレットパーク多摩南大沢との契約が2025年に終了することを受け、東京都は「南大沢駅北側都有地活用事業」として2024年2月に次の事業者を募集しました。
公募型プロポーザル方式で、応募を希望する企業から土地の活用案や賃貸金額の提案を募る方式です。
2024年5月15~17日の3日間提案書を受け付け、その後事業者によるプレゼンテーションを経て、提案内容を精査・審査して次の事業者を決定します。
現行アウトレット運営の三井不動産が再び選定
東京都都市整備局は2024年6月17日、「南大沢駅北側都有地活用事業」の事業者に三井アウトレット多摩南大沢を運営する三井不動産株式会社を選定したと発表しました。
東京都都市整備局のHPのお知らせに選定結果についてお知らせが掲載されています。
「南大沢駅北側都有地活用事業」の事業予定者を決定しました(東京都都市整備局)
三井不動産の提案コンセプトは「にぎわいの継続&発展 ~さあ、南大沢から未来をかえよう~」です。
提案内容は閲覧することはできませんが、東京都による事業予定者選定結果の書類は公開され確認することができます。
南大沢駅北側都有地活用事業事業予定者選定結果 令和6年6月東京都都市整備局
アウトレットパーク南大沢は営業継続
三井不動産の提案概要によると、三井アウトレットパーク多摩南大沢の閉店せずに営業継続する方針とのことです。
一部の建物は建て替えるものの、各ショップが入居しているA街区の建物はそのまま活用するため、約9割のテナントがそのまま継続営業になるそうです。
既存建物とテナントをそのまま継続活用することでコストを抑えられるのは現行事業者の強みと言えます。
南大沢で暮らす住民やアウトレットによく行くユーザーからも、南大沢のアウトレットがなくならないことに安堵の声が上がっています。
B街区のレストランやスーパーが建て替え
なお、三井アウトレットパーク南大沢のA街区は建物とショップがそのまま継続するものの、B街区は建て替える提案となっています。
B街区はパンケーキ専門店BUTTERや自然食ビュッフェのはーべすと、焼き肉の吉座などのレストラン、スーパーのサカガミ、ファッションのGAP、園芸用品のザ・ガーデン横浜の入居エリアです。
建物を建て替えることになるため、上記の店舗については2025年内に営業終了することが見込まれます。
B街区にフードコートやイベントスペースを新設
三井不動産はアウトレット南大沢のB街区を建て替えることで、店舗数をさらに拡大することを提案書に盛り込んでいます。
さらに、建て替えの中でフードコートやイベントスペースも新たに設置する方針です。
イベントスペースは南大沢に住んでいる地域住民のコミュニティによる活用や、スポーツやエンターテイメントのイベントに活用する計画です。
今もB街区にはイベントスペースとステージがありますが、ステージ情報の開示が乏しいため、大きなイベントでなければ、いつ・何が行われているか分かりにくいです。
B街区建て替えによる新たな活用ではハード面だけではなく、イベント企画や情報発信を含めたソフト面の改善が期待されます。
三井不動産の提案に対する東京都からの指摘
三井不動産が提出した提案書に対し、東京都は評価しつつもいくつかの指摘が行われています。
現行の施設・サービスや他のアウトレット施設との差別化を図る観点からも、子育て世代に加えて、今後の人口構成等、将来を見据えたシニア層の利用を促進するサービス等の提案や、東京都立大と隣接する立地特性など南大沢ならではの環境をさらに活かした提案のほか、地域の若手事業者の出店機会を設けるなど地元事業者との連携を強化する取組が求められる
より主体的なエリアマネジメント活動推進に向けた具体的な取組及び東京都立大学や他の近隣施設とのより積極的な連携が求められる
事業を主体的に同社が進めていくための費用負担を含めた具体的なスキームについては、今後の検討課題となっていることから、協議会や鉄道会社をはじめとした交通事業者と連携して、スマートシティ実現に向けた利用促進策を含めた具体的な解決策やロードマップを示し、着実に実施していくことが重要である
更なるみどりの活用・創出・保全に関する取組や、継続して利用するA 画地の建物と新たに建設するB 画地の建物との調和を図ることが必要である
こうした指摘についても今後の計画に盛り込まれる見込みです。
いずれもまちづくりの観点では必要なポイントなので、今後の三井アウトレット南大沢の発展に注目が集まります。
今後の事業スケジュール
「南大沢駅北側都有地活用事業」としての三井アウトレットパーク多摩南大沢の事業スケジュールとして以下が予定されています。
- 令和6年度 基本協定の締結
- 令和7年度 事業用定期借地権設定契約の締結
- 令和7年度 B画地の建築工事の着工
- 令和9年度 B画地の建築工事の完了
アウトレット南大沢のB街区に入居している店舗がいつ営業するか気になるところです。
またフードコートが設置されることで、既存のレストランやスーパーは建て替え後に営業再開するかも気になります。
実は応募企業は三井不動産のみ
なお、東京都が募集した「南大沢駅北側都有地活用事業」に三井不動産が選ばれましたが、実は応募した企業は三井不動産のみだったことが判明しました。
選定結果の書類に「以下の1社(A社)から応募があった」と記載があります。
このA社=三井不動産です。
そのため、他社の提案と比較したわけでもなく、提案内容が東京都が設けている賃料などの基準をクリアしていたにすぎません。
ただ、アウトレットの現行事業者である三井不動産のアドバンテージは大きく、仮に他社が提案していたとしても、勝ち目はなかったと推測されます。
まとめ
今回、三井アウトレットパーク多摩南大沢を運営する三井不動産が、東京都の公募事業である「南大沢駅北側都有地活用事業」の事業者に選定され、アウトレットが営業継続することを紹介しました。
アウトレットパーク南大沢は東京都との借地契約が2025年に終了するため、閉店・撤退が危惧されていました。
しかし、三井不動産が再び事業者に選ばれたことで、アウトレットはそのまま継続することになるそうです。
ただ、A街区はそのままですが、B街区は建て替えによってフードコートやイベントスペース、店舗の拡充を図ります。
2025年からB街区の建て替えがスタートし、2027年に完了予定です。
その間も三井アウトレットパーク南大沢は営業が続くので、利用者は安心しつつ、パワーアップするアウトレットがどうなるか楽しみに待ちましょう。
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